事業承継税制 資産管理会社 不動産賃貸業
本年の税制改正にて、事業継承税制が改正され
事業承継における、相続税・贈与税が今までよりさらに免除、軽減されることになりました。
簡単に言うと..
「世の中の中小企業が、次世代に事業をバトンタッチしてくれるのであれば、相続税や贈与税を大幅に減免しますよ」
ということです。
この制度を受けることができた場合、
株式にかかる贈与税や相続税をなんと最終的に100%免除してくれるのです!
仕事上、関係するお客様でも法人で不動産資産を所有し、次世代への継承を考えている方が多くいるので、この制度を上手く使えないものか?との問い合わせや質問をよく頂戴します。
結論は不動産賃貸業のために設立した法人(会社)はこの制度は
使えません。
細かな条件はここでは割愛しますが、
・資産管理会社以外の会社
という条件にまず該当しません。
この資産管理会社は資産保有型会社と資産運用型会社に分けられ、
資産保有型会社とは、貸借対照表の総資産に占める特定資産(※)の割合が70%以上の会社をいいます。
資産運用型会社とは、売上のうち特定資産の運用収入の占める割合が75%以上である会社をいいます。
(※) 特定資産とは?
次に掲げるような資産をいいます。
① 国債、地方債、上場株式、資産管理会社の持分
② 自社で実際に使用していない不動産(賃貸不動産など)
③ ゴルフ会員権
④ 書画骨董、貴金属、宝石など
⑤ 現預金、会社の代表者や同族関係者に対する貸付金
不動産収入が売上の大部分の会社はこれに該当してしまいます。
事業にほぼ関係のない資産を保有し、そこからの収入が大部分の会社に事業承継税制を適用させることは制度的になじまないことが理由です。
次の要件を満たせば、資産管理会社に該当しても事業承継税制の適用ができるという納税者を保護する例外規定が設けられています。
① 3年以上継続して商品販売や役務提供等の行為をしていること
② 常時使用従業員(一定の親族を除く)が5人以上であること
③ 事務所、店舗等の固定施設を所有又は賃借していること
が、節税目的で設立した会社でこの要件を満たすことはほぼ不可能であり、本来の目的からは逸脱しますよね。
よく頂く質問なので、自分自身の復習も兼ねて記事にしてみました。
他に事業を行い、さらに不動産資産を保有している会社であれば適用は充分に考えられますので、検討の余地はあると思います。
ご参考までにどうぞ。